国民皆保険制度とは、国民全員が加入する公的医療保険制度です。公的医療保険制度は、各国の政府や国会等が自国に適した制度設計を行うために国によってその内容は異なります。
日本は国民皆保険制度を採用していて、国民全員が複数ある公的医療保険のどれかに加入しています。
資格取得にも必須!生命保険の営業マンなら知っておきたい国民皆保険の基礎知識
資格取得に必須の知識!日本の公的医療保険制度
日本の主な公的医療保険制度は次の通りです。
- 健康保険組合
主に大企業などの従業員とその家族が加入。 - 全国健康保険協会(協会けんぽ)
組合健保のない中小企業の従業員とその家族が加入 - 共済組合(共済)
公務員とその家族が加入する医療保険。「国家公務員共済組合」「地方公務員共済組合」など - 国民健康保険(国保)
自営業者とその家族など、上記の健康保険の加入者以外の人が加入 - 後期高齢者医療制度
75歳以上の人
健康保険組合や全国健康保険協会、共済組合は、「被用者(雇われている人)保険」と呼ばれ、会社の従業員だけでなくその扶養家族も同時に加入できるのが特徴です。
資格取得に必須の知識!子供から老人まで公的医療保険に加入
日本で生まれ生涯を日本で過ごせば、子どもから老人になるまでに常に上記の公的医療保険に加入していることになります。
- 生まれてから独立するまで
被扶養者として親の被用者保険(健康保険組合など)に加入 - 会社に勤務
会社の健康保険組合(または協会けんぽ)に加入 - 65歳で定年
国民健康保険に加入 - 75歳以降
後期高齢者医療制度に加入
資格取得に必須の知識!公的医療保険制度の主な給付内容
国民皆保険制度によって加入する公的医療保険から受けられる主な給付は次の通りです
- 医療費の3割負担(年齢などによって負担割合は異なる)
- 高額療養費制度(1ヶ月の医療費が所定の金額を超えた場合に、超過金が還付してもらえる制度)
- 出産育児一時金 (出産した時に支給される)」
- 傷病手当金(病気などで休業した時に支給される)
- 被用者保険の被保険者のみ
日本の医療制度の世界的地位
日本は「世界に誇れる国民皆保険制度」を持っていると言われています。日本の公的医療保険制度はどこが優れていて、海外の他の国の精度とはどう違うのでしょうか?
日本の医療制度は世界から高い評価を受けている
2012年のTHE CONFERENCE BOARD OF CANADA(カナダにある非営利の研究グループ組織。メンバーは世界60か国の1000以上の官民企業)の資料では、平均寿命や病気毎死亡率などの項目で高い評価を受けました。
さらに総合評価では調査対象17か国の中で1位を獲得しました。
また、2011年にはイギリスの医学誌「THE LANCET]
では次の3点で日本の医療が高く評価されました。
- 短期間で世界の長寿国となり高い健康水準を実現
- 国民皆保険で公平でアクセスしやすい医療を実現
- 先進国の中では低い医療費でこれらを達成した事
国民皆保険制度によって、国民全員が全国の医療機関で公的保険によって医療を受けられること(フリーアクセス)が評価されたのですね。
世界の医療保険制度
日本の医療保険制度の特徴を確認するために世界の医療保険制度について見ていきましょう。
対象はOECD(経済協力開発機構)加盟の先進国が中心となります。
対象累計と公的医療保険制度の加入対象者
制度累計は主に、日本が採用している「社会保険方式」と医療サービスなどの費用を税金で賄う「税方式」に分かれます。
制度累計 | 加入対象者 | |
日本 | 社会保障方式 | 全国民加入率100% |
ドイツ | 社会保障方式 | 自営業者、高所得者以外加入率87% |
フランス | 社会保障方式 | 一部を除く全国民の99% |
スウェーデン | 税方式 | 全国民加入率100% |
イギリス | 税方式 | 全国民加入率100% |
アメリカ | メディケア、メディケイド | メディケア:65歳以上の高齢者、障碍者 メディケイド:所定の条件を満たす低所得者 |
税方式を採用するイギリスやスウェーデンでは、国民皆保険制度が導入されています。日本と同じ社会保険方式を採用するフランスではほぼ国民皆保険と言える状況ですが、ドイツは加入率87%にとどまります。ただし、加入対象者以外の人に対しては、民間医療保険への加入が義務付けられています。しかしアメリカについては公的医療保険制度の加入者は限定的で国民の67.5%が、民間保険を利用しており無保険者が全体の10%弱を占める状況です。
世界別医療費の負担額
医療費の負担額、負担割合 | |
日本 | 原則30%(年齢などで異なる) |
ドイツ | 外来:なし、入院1日1ユーロ、薬剤10% |
フランス | 外来:30%、入院20%、薬剤35% |
スウェーデン | 広域自治体によって異なる |
イギリス | 原則自己負担なし |
アメリカ | 入院は当初60日間は1340ドルまで自己負担。その後は入院日数によって所定の金額を自己負担 |
税方式のイギリスやスウェーデンでは、医療費の自己負担はなし、または低額に抑えられています。日本と同じ社会保険方式のドイツやフランスでは、定率または定額の自己負担があります。
医療体制や医療費
人口千人当たりの病床数 | 人口千人当たりの医師数 | 1人当たりの医療費 | |
日本 | 13.1床 | 2.4人 | 4630ド7ル |
ドイツ | 8.0床 | 4.3人 | 5848ドル |
フランス | 6.0床 | 3.2人 | 4931ドル |
スウェーデン | 2.2床 | 4.1人 | 5264ドル |
イギリス | 2.5床 | 2.8人 | 3943ドル |
アメリカ | 2.8床 | 2.6人 | 10207ドル |
他の国と比較して、日本の1人当たり医療費は平均的ですが、人口当たりでみると病床数は多く医師は少なめです。
アメリカの高額医療費が目立ちます。医療費が高額であるため民間保険の保険料も高くなり、その結果、低所得者の無保険者が多く存在します。
2014年に導入されたオバマケア(医療保険制度改革法)も政権交代が続き、今後の行方が注目されます。
営業トークに使おう!公的医療保険だけでは賄えない部分を、生命保険でカバー!国民皆保険制度を守るための課題
国民皆保険制度を守るためには、支出を減らし、収入を増やすことが課題となります。
- 診療報酬の適正化や薬価改定による医療費の引き下げ
- メタボ検診など病気予防、健康管理による医療費の抑制
- 電子カルテやオンライン診療などによる医療の効率化
- 後期高齢者の医療費負担の引き上げ
- 現役世代の健康保険料引き上げなど
公的医療保険だけでは賄えない、不足分を生命保険でカバーしよう!高齢化に伴い医療費負担が増加
国民皆保険制度とは、国民すべてが公的医療保険に加入するという医療保険制度のことです。
日本の国民皆保険制度は国民のだれもが全国の医療機関で公的保険によって医療を受けられることフリーアクセスが世界的にも高く評価されています。ただし高齢化の進展に伴い医療費が増大し医療保険制度の財政がひっ迫しているのが現状です。国民皆保険制度を守るために公的医療保険制度の不断の改革が求められています。