フットインザドアテクニックというのは、交渉や依頼の場面で本命の要求を通すために、まず簡単な要求からスタートし、段階的に要求レベルを上げる方法です。
対照的なのがドアインザフェイスで、本命の要求を通すために、大きい要求を断られるようにしてその罪悪感からレベルを下げた要求に変えていくという方法です。
生命保険営業トークのテクニック:フットインザドア、ドアインザフェイス
フットインザドアを使うコツ
フットインザドアの有効な使い方の例を紹介します。
例えば親が子供に食事の後片付けをさせようとする時、いきなり食器を洗いなさいといってもなかなかいうことを聞いてくれません。
そこでまず食器を台所に運ぶのを手伝ってとお願いします。
そこで子供が「うん」とうなずけば、台所に向かうでしょう。次に水につけておいてとお願いします。
すると今度は水道の蛇口をひねることになりますよね。最後に「ついでに食器を洗って」と頼めば、ごく自然な流れで本来の目的を達成することができるのです。
このテクニックには一貫性の原理が大きくかかわっています。一貫性の原理とは人間には一度決心した行動や発言、信念などを貫き通したいと思う特性があります。ころころ変わると思われたくないと思うといってもいいかもしれません。特に我々日本人は真面目で義理堅い人種といわれているので、このフットインザドアのテクニックは有効と思われます。
フットインザドアのビジネス活用例
さて、ビジネスではどう使うのでしょうか?例えば顧客が携帯ショップに行ったとします。
店員:ゆっくりご覧になってください。
客:あどうも
店員:機種変更をお考えですか?
客:はい、今月発売した機種が気になっていて。
店員:では、ぜひご説明させてください。あちらの席へどうぞ。
店員:~というサービスもございまして今ご購入いただければ大変お得になっております。在庫もおりますのですぐお渡し可能ですが。
客:他の機種とも比べてみたいけど。
店員:いかがでしょうか?
客:ではそれでお願いします。
商品についての話を聞いたことにより、一貫性の原理がさらに強く働きました。お客さんは、自分は新しい機種に興味がある。そして店員から新商品の話をじっくり聞いたと意識しています。この態度に一貫性を持たせようとすれば、「だから機種変更する」という決定に至るでしょう。
ドアインザフェイスを使うコツ
ドアインザフェイスは、これに対して返報性の原理を応用したテクニックで、譲歩を利用して相手と交渉します。返報性の原理とは、プレゼントをもらったら、何かお返しをしなければというように、「何かをしてもらったら何かをしたくなる」という心理現象のことです。相手が譲歩してくれたら、こちらも譲歩しなければ相手に悪いと思わせる交渉術を利用して、最終的なこちらの希望を承諾してもらうというテクニックなのです。
ドアインザフェイスのビジネス活用例
ビジネスでどう使うかというと、例えば営業で高めの見積額を提示したとします。相手は、これでは高い、値引きできないかと言ってきたとします。こちらは値引きに応じます。すると相手はせっかく値引きしてもらったし、発注しようかなと思います。そうすることで、最終的にこちらが心の中で希望していた受注金額で発注を受けることができるのです。
またドアインザフェイスには、相手に満足感を味わってもらえるというメリットがあります。「交渉した結果、自分に有利な結果にすることができたと感じてもらえるため、営業側では想定内の交渉でもお客さんには喜んでもらえるのです。
生命保険の営業でうまくいくコツ!自分に有利な状況を作り出そう!
ただストレートに契約してくださいというだけでは、契約成立にはなりません。このテクニックを使って自分に有利な状況を作り上げることが大切です。
また露骨に使ったり、何度も繰り返し使ったりしてはいけません。相手の状況、要求の程度をしっかりわきまえて使ってこそ有効なテクニックになりえます。
営業マンは、だいたい損益分岐点というかいくらまでは値引きできるという数値を持っています。最初からぎりぎりの数値を提示するのではなく、いかに値引きしたように見せて最終価格で合意することができるかがテクニックだと思います。顧客は得をしたと喜びますし、自分は想定通りの価格で契約をとることができます。
私は資材マンを長年やっていましたが営業が売るものの原価を査定する能力というのは大切で、安い買い物をするためには欠かせません。その商品の価値が本来いくらなのか見抜く目を持ち、本当によい買い物をしたいものです。