最近数年以内に、セールスパーソンはもはや必要なくなるという大胆な断言をしたビジネス指導者の数が驚くべき数にのぼっています。
インターネットのおかげで、購入プロセスはセールスパーソンが不要になる程度までに変容したと主張しています。
うまくいかない営業マンは知るべき!もう営業はいらない?新時代にも必要とされる人材とは
生命保険営業の仕事内容が変化!インターネットの革新と営業職の減少?
今やインターネットが販売環境を大変革したことは否定しようがありません。買い手側はセールスパーソンとコンタクトを取る前に企業や企業のプロダクトやサービスについて事前調査をします。疑いもなく、テクノロジーはセールスパーソンの活動を補強して、さらにセールスとマーケティングの間の境界をあいまいにしています。しかし、テクノロジーが実際にセールスパーソンの役割を否定して、営業の仕事の数が近未来に劇的に縮小するのでしょうか?
米国の労働統計局によれば、米国で雇用されている9人のうちの1人が販売の仕事なので、これは小さな問題ではありません。それでも、販売・営業の仕事は衰退しているというのは本当でしょうか?多くのセールスパーソンは他の仕事に転職することを余儀なくされているのでしょうか?その答えは「ノー」です。来るべき数年のうちに大部分の販売の仕事が根絶されるとは信じられません。実際には、証拠はその反対の傾向を示しています。セールスの仕事の増加が実際には予測されています。
エコノミストはセールスマネージャやセールスパーソンの仕事の数はそれぞれ10%と12%も次の10年間に増加すると予測しています。同様に、米国労働統計局は営業のポジションのニーズは増え続け、2020年までに現在よりもおおよそ200万人の営業職が存在すると報告しています。
劇作家アーサー・ミラーの予見した「セールスマンの死」
テクノロジーのためにセールスパーソンがもはや必要なくなるとの考えは新奇に思えるかもしれませんが、前世紀に何度も使い回されてきた考えなのです。たとえば、1916年6月18日には『ニューヨークタイムズ』は「営業マンは必要か?」という問いを課す記事を掲載しました。同記事は、鉄道が「農園を都市に」変化させ、これがセールスパーソンの必要性を無くすと主張しました。1930年代には電話というテクノロジーが普及するので多くのビジネス界の指導者はセールスパーソンの役割は時代遅れになることを肯定しました。1949年に発表された有名な芝居、アーサー・ミラーによる『セールスマンの死』でさえも、セールスパーソンの失墜を予見しています。主人公のウィリー・ロウマンは語ります。「営業は死んでいる。かつてはそこに尊敬、礼儀正しさ、感謝の念が存在した。今日、すべては切り刻まれて乾ききってしまった。」1962年のE・B・ワイズの本『消えゆくセールスマン』では、セールスパーソンはコスト高で非効果的で、マーケティングが彼らの存在を抹消することが主張されていました。2010年になってでさえ、『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』の著者であるニール・ラックハムは、2015年までに営業職の数は今日の1800万人から1000万人にまで削減されると主張しました。実際に、新しいテクノロジーの大きな発展のごとに、セールスパーソンはもはや必要とされていないことが予測されました。米国では目下のところ営業が2番目の雇用規模の大きい職業ですから、これは決して当てはまらないことは明らかです。
技術は革新されても人間の信頼関係の代替にはならない
テクノロジーが重要である限りは、何が明らかになるかというと、現在も歴史を遡っても、セールスパーソンが必要であることは否定もされないし、その必要性が減ずることもないということです。現実には、情報だけがひとをして行動せしめることは稀であるのです。人間の判断形成の過程には、合理的な働きかけは必要です。あるアピールが人間関係を通じてなされるときには、その説得力が強化されることを確認した、行動科学の分野での研究はヤマのようにあります。セールスパーソンは必要なのです。なぜならセールスパーソンは人間の関係を創り出すからです。その関係が見込み客を顧客に変えるきっかけになるのです。
人間の絆が営業活動の根幹を成す
さらに、セールスパーソンはビジネス上必須の存在であり続けるでしょう。見込み客は企業、プロダクト、サービスの最初の意見をインターネットで提供される情報から形成するかもしれませんが、大規模な購入案件の場合、この情報だけではポジティブな購入判断を形成するには不十分です。プロダクトやサービスが低価格で、リスクも低くない限りは、見込み客はインターネット上で与えられる情報に基づいただけで購入の判断を下すことは稀です。価格が高く、リスクも大きい購入の場合、見込み客はセールスパーソンとのインタラクティブな関わりを欲します。たとえば、『Journal of Business & Industrial Marketing』誌は、インターネットが見込み客の購買行動をいかに変えたのかを問うた調査結果を発表しました。このような調査は、見込み客がインターネットよりもセールスパーソンを重要な情報源と考えていることを明らかにしています。『ハーバードビジネスレビュー』も、100,000人以上の見込み客の購買行動を検証した調査結果を発表しました。このような調査が示すところでは、購入判断はプロダクトまたはサービスの機能、品質、あるいは価格に基づいてなされるのではなくて、セールスパーソンを信頼してなされているとのことです。結果として、セールスパーソンは代えようがないのです。
今日の技術が進展し、過当競争の市場では、スキルの高いセールスパーソンを雇用することは必須です。しかし、テクノロジーはセールスパーソンが無視し得ない何物かでもあります。インターネットは、見込み客が企業、プロダクト、サービス、セールスパーソンに関する情報を探しにいくところなのです。ネットは販売サイクルを加速し、リード生成を改善し、見込み客についての情報を明らかにするので、効率的な販売が促進されるでしょう。それでもなお、ひとびとはひとびとから購入するでしょう。新しいテクノロジーのもたらす危険とは、セールスパーソンが盲目的にそれを無視するか、販売活動において人間の要素を無視できる程度にまで大胆にテクノロジーを受け入れる点にあります。両方のオプションは、非常に拡散しているにもかかわらず、究極的には非生産的です。ハーバードビジネススクールのベン・シャピロとジョン・J・スヴィオカが適切に記したように「ICTのもたらす膨大なメリットにも関わらず、販売はいまだに人間関係において大きな機能であり、それは動機、ニーズ、知覚を認識する職人芸的な能力によって導かれている」のです。
新時代に必要とされるセールスパーソンは”人間力”を磨くことが重要
上記で眺めてきたように、情報通信技術(ICT)がいくら発展しても、営業場面における人間の絆の果たす役割は減ずることはありません。営業現場を預かるセールスパーソンは顧客の信頼感を獲得する「人間力」を磨くこと肝要になります。そうする限りにおいて、そのセールスパーソンは時代の潮流によって淘汰されることはありません。